全国の悩める大手病就活生よ、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』『ユリゴコロ』を観てほしい
一文無しの新人サラリーマンが26歳で証券会社を設立、その類まれなる営業力とリーダーシップを発揮して一瞬にして大富豪へ。女と酒とクスリに溺れる彼にとって大切なものとは――。
観たことがあるという方はこれだけで作品名が浮かぶかもしれない。
そう、かのイケメン俳優レオナルド・ディカプリオ主演、しかも監督はマーティン・スコセッシ。もうこれだけで期待大な『ウルフ・オブ・ウォールストリート』である。
本作の魅力についてゆっくりじっくり語ってもいいのだが、今日は少し違った趣旨で話を進めたい。
私はこの映画を全国の大企業を目指す就活生にこそ観てほしい。
そしてその対極にある(と、勝手に考えている)吉高由里子主演の『ユリゴコロ』についても、合わせて紹介したい。
〈contents〉
①『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の主人公と大手企業に病的なほど執着する就活生は似ている
②あらゆる欲求の先にある景色とは
③ちょっとグロいけどオススメな『ユリゴコロ』という映画のこと
①『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の主人公と大手企業に病的なほど執着する就活生は似ている
「あなたの就活の軸は何ですか?」
「うちとA社じゃ業界も全然違うけど、堀井さんの企業選びの基準は?」
…わかってるだろ。
聞かなくてもわかんだろ!!!金だよ!金!!!
と、声を荒げそうになるのを必死に抑えて何とか乗り切った就職活動。
新卒入社の時点でそれなりの地位と名声と高給が得られればな~なんて考えていた私は、
・コンサル
・総合商社
・投資銀行
・広告
とかいうミーハー中のミーハーとしか言いようのない業界を見ては受けたり受けなかったり受かったり受からなかったりした。
何と言ってもお金が欲しい。「お金が無くても幸せ♡」なんて、毎月カード請求に追われる貧乏大学生の私が言っても説得力は皆無である。
そう、地位も名声も高給もいったん手にしてみてから考えたかったのだ。
つまらないものだと感じたら捨てれば良い。それが勇気の要ることなのかどうか、まだわからないけれど。
そして法を犯してまでそれらを手放さなかったのがこの映画の主人公、ジョーダン・ベルフォードである。余談だがディカプリオって『グレートギャツビー』にしても、本当にこういう役柄似合うよなあ。
彼は全くお金のなかった頃、恋人に「俺は億万長者になるから!」としきりに言っている。
よく似た就活生を何度か見かけた。
「俺、将来Wikipediaに載るから!」
「私この大学では1番のエリートになる!」
「商社マンになってCAと合コンしまくるんだ!」
みたいな学生は実際に数多いる。かくいう私も例外ではなかっただろう。
②あらゆる欲求の先にある景色とは
まあどうしてステータスとマネーがそんなに欲しいかって、その理由は
「そこには大きな物語があるから」
これに尽きる、と私は思っている。
例えばブランド物のバッグやアクセサリーには誰にとっても価値がある。それは私達が「ティファニーの指輪は価値がある物語」を生きているからだ。
お金とか名声とかもそうで、国家という大きな物語が崩壊した現代の私達はそれらにすがることで安心する。
全部手に入れて満喫した先に、今度は小さな物語が存在する(と、予測している)。
③ちょっとグロいけどオススメな『ユリゴコロ』という映画のこと
その「小さな物語」を美しく描いているなあ、と個人的に思う映画がある。
吉高由里子さん主演の『ユリゴコロ』、原作は沼田まほかるさんの小説だ。
最近やってた『正義のセ』とか『東京タラレバ娘』とは打って変わった吉高さんの演技には脱帽である。
小さな物語とは、一般的には価値が無くても自分にとって大切なもの。小さい分、「私だけ」感が生じる分、大きな物語よりも強力で恐ろしい。
誰もが小さな物語=ユリゴコロに苦しみ、そして勇気づけられる。
そんな私達の日常を、「殺人」という非日常で描いたのが本作だ。
美しくなんかない。華やかでもない。だけどちょっとだけ背中を押されるような感覚。
私には確固たる大切なものが見つからなくて、終始「ジョーダン・ベルフォード的就活」をしてしまった。
企業に選んでもらうフェーズが終わり自分が選ぶ立場になって初めて、自分がやりたいことも大切にしたいことも無いことに気が付いた。
受かった会社は少ないし、決して高学歴でも高経歴でもない私ができるアドバイスなどないが、一つだけ言わせてもらえるならば。
これから就活をする皆さん、
「自分にとって何が大切か」
その答えを自問自答しながら進めれば、きっといい結果が付いてくることと思います。
1人でも多くの方が小さな物語を全うし、最適解を導き出すことを願ってやまない。