『万引き家族』のリアルさがテレビで取り上げられていたけれど
こんにちは。
今日は今話題の『万引き家族』と、個人的にその対極にあると考えている黒沢清監督について話します。
是枝監督の『万引き家族』が、第71回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞しましたね。
もともとドキュメンタリーを撮っていた是枝監督作品は「リアル」なところが最たる特徴ではないでしょうか。子どものセリフから空間表現まで、「いやいや、これはないでしょ(笑)」となるものは今のところ見たことがありません。
彼の作品の魅力についてはfilmarksの記事でも紹介されています。
【考察】是枝裕和監督作品「食」と「子役」にみるドキュメンタリー的手法 | FILMAGA(フィルマガ)
俳優の方々も実に自然な演技をされていると思います。
リリーフランキーさんに関しては、『そして父になる』の時と役柄があまりにもかぶっていて、時折今観ている映画がわからなくなりました。
安藤サクラさんは圧巻でしたね。
彼女は『百円の恋』や『愛のむきだし』でも素晴らしい演技をされています。大好きな女優さんの一人です。
でも、私は映画に対してあまりリアリティは求めていません。
私自身はフランスの古い映画みたいな、演技らしい演技や演出らしい演出が結構好きです。
その点ではロベール・ブレッソン監督なんかが思い浮かびます。彼の作品のセリフのわざとらしさたるや。棒読みだし、口動いてないし、何だか解説的だし…。
そこでリアリティからかけ離れた日本の映画監督について。
黒沢清という監督が私は大好きです。
彼の『CURE』という映画・小説をご存知でしょうか。
これ、すごいです。
何がすごいって、SFでもないのにバスが空を飛んでますから。
しかも夫婦が病院に向かうという、一見普通過ぎるシチュエーションで。
黒沢監督はいまだにスクリーンプロセスという手法を使う数少ない監督で、車に乗るシーンで俳優が実際に運転しているケースは少ないです。
後に風景を映し出して、運転しているかのように見せるという演出です。ゴダールも何かの映画でやっていました。
この他にも、
およそ病院とは思えないぼろぼろの建物が出てきたり、とにかく「さすがに嘘でしょ」と言いたくなるようなもの多数。
でもいいんです。
映像・空間の美しさはとても高いレベルで保たれていると感じます。
小説を書いたり映画を撮る人って、そのままの現実世界に何かしら不満があるから、違う世界を生み出すんじゃないかと、私は考えています。
だから現実を反映してメッセージを込めるも、頭の中に収まりきらないトンデモナイ世界を描くも、本質的には変わらない。そう思います。